「火災保険を使えば無料」その言葉、信じないで!巧妙化する保険金詐欺の罠
「台風で壊れた屋根、火災保険を使えば自己負担ゼロで修理できますよ」 「保険金の申請は、私たちが無料で代行します」
突然の訪問や電話、あるいは郵便受けに入っていたチラシで、このような甘い言葉を見聞きしたことはありませんか?
一見すると非常にお得な話に聞こえますが、その裏にはあなたの財産だけでなく、信用までも失いかねない大きな罠が潜んでいます。
近年、自然災害に便乗し「火災保険を使えば無料で住宅修理ができる」とうたって契約を迫る悪質な業者とのトラブルが全国で急増しています。
これは「保険金請求サポート」などと称され、その手口は年々巧妙化しており、誰もが被害者になる可能性があります。
これが悪質業者の典型的な手口
彼らは、家主の「少しでもお得に修理したい」という心理につけ込みます。
おおむね次のような流れで進められます。
1. 不安を煽るアプローチ
「近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根が破損しているのが見えました。このままでは雨漏りしますよ」などと突然訪問してきて不安を煽ります。
特に台風や大雪、地震など自然災害の後に、このような勧誘が増えます。
2. 「無料」を強調し契約を迫る
「火災保険の対象なので、お客様の負担は一切ありません」 「保険会社への申請はすべて弊社が代行します」 といった形で「無料」「手軽さ」を強調し、その場で保険申請サポート契約やコンサルティング契約を迫ってきます。
3. 虚偽の理由で保険金を請求
経年劣化による小さな傷や汚れを「台風が原因」と偽り、破損箇所を広げたり関係ない箇所の写真を使ったりして虚偽の報告書を作成します。
それを保険会社に提出し、不正に保険金を請求するのです。
「知らなかった」では済まされない!契約者が負う甚大なリスク
- 詐欺罪に問われる可能性 虚偽申請で保険金を受け取った場合、詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性があります。
- 保険契約の解除 不正請求が発覚すると、保険契約を解除され、今後の補償や新規契約が困難になります。
- 高額な違約金の請求 契約書には「成功報酬○%」「解約時は違約金」などの条項が隠れている場合が多く、修理できずに高額請求だけ残るケースも。
トラブルを回避するための鉄則
こうした被害に遭わないために、以下を徹底しましょう。
1. その場で絶対に契約しない
「無料」「今だけ」という言葉が出てきたら要注意。 その場でサインせず、「家族と相談します」と毅然と断りましょう。
2. まず保険会社・代理店に相談する
損傷を見つけたら、悪質業者ではなく加入している損害保険会社や代理店に直接相談してください。
3. 修理は信頼できる業者から相見積もりを取る
1社に決めず、実績のある地元業者から複数の見積もりを取り、工事内容と費用を比較検討してください。
もし契約してしまったら?
訪問販売などであればクーリング・オフ(契約書受領から8日以内)が可能な場合があります。
少しでもおかしいと感じたら、すぐに消費生活センター(消費者ホットライン「188」)に相談してください。
「無料」という甘い言葉の裏には、大きな代償が隠されています。
大切な住まい・財産・信用を守るため、冷静な判断と正しい知識を持ちましょう。